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2017年03月27日

て帰らせ研究では有

美人の白狐さまは、荼枳尼天の封印によって祠の傍を離れられないので、父ちゃんが帰ってくるのをひたすら待つことしかできない。好きな父ちゃんとどこまでも一緒に行きたいと願っても、それは封印を掛けた、くそ婆ぁ……じゃない女神、荼枳尼天さまの力がないと決して叶わないことだった。白狐さまは荼枳尼天さまの「無情の理(ことわり)」に縛りつけられていた。
「そういうことが人間にはわからないから、祠を移すなんてバカなことを思い付いたんだ。あっ!夏輝、大変だ……もしかすると祠を離れたら、白狐さまが力尽きちゃうかもしれない。だって、白狐さまの霊体は祠に封じ込められてるんだもの。祠を移動させたりなんかしたら白狐さまが消えちゃう……。」
「白狐さま!」
「あぁ、仔犬か……」
祠の奥で白狐さまは、今や透けるように白くなった肌を晒していた。
儚げな柔らかな笑みを浮かべて髪をかき上げた白狐さまは、くらくらするほど凄絶に色っぽかった。
俺の生気、みんな持って行っていいから、いなくなったりしないで。
いつも変わらず、荼枳尼神社の祠で笑っていて。
抗う白狐さまを、羽二重のおふとんに張り付けて、俺は本気で白狐さまをあんあん言わせるつもりだった。力任せに押し付けて、ざらつく舌でうなじを撫で上げた。白狐さまが、固くぎ貨物存倉ゅっと目を閉じたら目尻から一粒涙が転がって俺はそれ以上のことはできなくなった。諦めの涙が悲しかった。
守ろうとスローガンを掲げ、ねじり鉢巻きにたすきをかけて署名活動を開始した。
だけど町の人は、小さな荼枳尼神社の片隅に祠があるなんて知らない人の方が多かったし、移設するのなら、それでいいじゃないかというのが大方の意見だった。
実際それがどんなに大変な事かわかる人はいなくて、署名してくれる人も、文太の仕事場のおっさん連中位で、悲しいほど本当にわずかだったんだ。
努力の甲斐もなく、ついに工事の着工日時が三か月後に決まった。俺たちは、自分たちの非力を認めるしかなかった。俺は、行方知れずの父ちゃんに向かって、悪態をついた。
白狐さまはどんどん儚くなって、向こうが透けて見える勢いだ。重ねた羽二重のおふとんに寄りかかり弱りきった白狐さまは、次々見舞いに現れる動物たちを、儚げな優しい笑みを浮かべ名な「権威」の教授に会いに来たらしい。
父ちゃんは「発掘物」を手土産に引っ提げて、教授の元へ来ていた。
「突然ですが、実は先生に視ていただきたいものがあるんです。」
「なんですか?」
知っているに決まっている。その埴輪が長年のライバルの手で発見されて重要文化財指定を受けた時、教授は悔しさのあまりやけ酒をあおり、ひどい二日酔いで寝こんでし搜索引擎優化まったくらいなのだ。喉から手が出るほど欲しい、発見者の名誉がそこにあった。
「私が責任を持つ!花菱町にある神社一帯の……なんて言う名の神社だ?」
「荼枳尼神社です。」



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