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2017年07月13日

瑚のまがつ)が

白く逆巻く波間の向こうには、本当に、争いのない極楽浄土が待っているのだろうか。


おばばさま。海の水は、冷とうはなかろうか?」

たおやかな女房達に囲まれた、幼い主上(おかみ)が、ふと顔を上げ不安そうな瞳を泳がせた。
世が世ならば大勢にかしずかれ、宮殿の奥深くでひそ精子健康と暮らしているはずであった。
強い潮風になぶられる髪が、真白い額に張り付いている。

何の。この婆もご一緒致しますれば、冷たいのは、一時の事でございまするよ。」

二位尼は、何とか作ったこわばった微笑を向けると、孫である主上(おかみ)を引き寄せた。
主上の悲しげな儚い笑みは、母、建礼門院の美しい面によく似ている。
聡明な瞳が、腕の中で二位尼を見つめた。

「もう、行くのですか?おばばさま。」

「はい、主上(おかみ)。この檀之浦が、今生のお別れの場所でございます。」

その言葉に堰を切ったように、安徳天皇を取り囲んだ女達がさめざめと泣く。
思えば、栄華を極めた平家の頭領が、熱病で倒れてから少しずつ様子は変わって来ていた。
栄枯盛衰は世の習いなれど、坂を転がる雪塊のように、櫛の歯が抜けるように、平家一門の味方は日々少なくなってゆく。

水面を覆う船団も、色とりどりの鎧を着けた大勢の武者を乗せて、ここから陣を立て直すはずだった。
だが今や、平家の赤い旗印は次々に源氏の白旗に蹴散らされ、全ては絵にかいた虚しい戯画のようになってしまっている。

古くから深い縁で結ばれた、頼みの熊野水軍さえ、源氏に精子 健康寝返り、指揮官、平知盛は茫然とした面持ちで、なす術もなく襲い来る大船団の影を見つめていた。

わたしの上巳の節句は、海の宮で行うのか?」

ふと、悲しげな瞳で、帝が問う。
慌しい都落ちに、頑是無い帝が楽しみにしていた、今年の桃の節句もまだ済ませぬままだった。

「主上(おかみ)は天子とお生まれになりましたけれど、今生の御命運は最早これまでに、尽き果ててお終いになりました。」

諭すように、尼が言う。

辛く厭わしいこの世を捨てて、さあ、極楽浄土へと参りましょう。海の都にも、きっと、目映い珊桃花が咲いておりますよ。上巳の節句は、美しい海の宮殿でお祝いいたしましょう。」

水面までは遠く、船べりから飛び込むには、幼い帝には躊精弱躇われたが、幼いながらに尽きた天運を感じているようであった。

おばばさま。わたしの天児(あ見当たらぬ。天児(あまがつ)はどこへ行ったのであろ?」

目を泳がせて、傍らに在るはずの小さな人形を探した。



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