どうしてこうなのか？　暇なのだ。会社員時代の「あの」ハードワークはなんだったの？　という感じぃー。昆布茶飲みながら盆栽の手入れをしているジェームズボンドという風情である。元々、働き者体質、ハードワーカー、つまり、暇慣れしていないから、せかせかせかせかせか、となんかやる。しかし、なんども書いたけれど、右腕のわんとうこっきんを痛めてから、そのせかせかができない。ますます暇。いや、そんなに暇ではなかったのだけれど、フランスの情勢上、ほぼ、失職状態になってしまったからである。これは、勤め先の問題ではなく、同業他社も同じ状況だから如何ともしがたい。別の仕事？　会社でシニアと呼ばれる世代に、しかも、異国の地で仕事なんぞない。

先日、カミサンのお休みの日、平日、真昼間から二人でお散歩した。「これって半分定年みたいよね」ってカミサンが言った。「はっはははははぁー、本当だねぇー」と二人で笑った。笑いながら、実際に定年している先輩親父たちは一体なにして過ごしているのだろう？　と思った。それほど、私と年齢は変わらない。この世代の人たちも私と同じ、ハードワーカーが多いから、ますます、彼ら、なにしてんだろうなぁー、と思った次第である。カミサンと仲良しでないと、一人で散歩？　家に居難い？　わっ。分からないけれど、まあ、自分の心配で手一杯である。ただ、私のケースは社会人を止めるだけで、並行してきた反社会人方面(芸術、芸能方面)の「やること」が山積している。ただ、こっちをやっても、やはり、以前のハードライフと比べると暇ぁーーちゅう感じはどうしてもする。

なんとなく、昨日。空を見上げていたら、「おめぇーよぉー、そろそろ暇慣れしたらぁー、なんかよ、俺はまだまだ現役とかさぁー、わけぇーもんに負けんっ、なんちゅう感じが体内で蠢いているだろ？　そろそろ、そういうの止めたら？　半分定年でいいじゃん」と思った。なんかね、寂しいとか鬱とかじゃなで思ったわけ。そういやぁー、会社辞めた時、沖(至)師匠に「イサオもさぁー、少し、暇になった方が、そろそろいいよ。お前、もう、ピアノに専念しろよ。十分、やってけるよ。お前、ずっとハードライフやってきたのに、ピアノ、折れなかったしブレなかった。凄いと思うよ、それってな。大体、旦那親父会社の偉いさんやりながらだったもんなぁー、そろそろ、肩の力抜けよ」と言われたのである。

昨晩、パンツ一丁の息子がユーチューブを見ていたら寝室に入ってきた。ラグビーマンのような筋肉隆々。わっ、そういやぁー、腕相撲、いつからやらなくなったかな？　今、やったら？　勝ち負けではなく、きっぱり、骨折である。

因みにユーチューブで見ていたのは「マギーの暗い過去」というやつ。両親の離婚、赤貧生活、ハーフなのでいじめに遭っていた。この三つ目が気になり、息子の筋肉隆々の広い背中をもう一度見た。

書いているばかりで、ほとんど、ブログも読まなくなってしまった。老眼の進行が一挙に来たせいもあるけれど、もう、二十年前ぐらいから、日経新聞以外は読まない感じになって、その、新聞も、今は読まない。といいつつ、今でも、ふっと、三十五年前に日本から持ってきた詩集は読む。小説は、まったく読まなくなった。とりわけ、最近のものは。